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火山灰質土

1 火山灰質土とは

 火山灰や火砕流を起源とする土。(『地盤材料試験の方法と解説』より)

 爆発的な火山噴火により放出される個体の破片(火山砕屑物)を総称する用語に「テフラ」があり,火山から流れ出る「溶岩」と区別されています。「溶岩」は,地表やその付近にあるマグマ(どろどろに溶けた状態の岩石)をさす場合と,それが冷えて固まったものをさす場合があります。つまり,火口から流れ出ているものも,冷え固まったものも,両方とも「溶岩」と呼ばれます。
 一方,火山砕屑物は,破片の大きさ(粒子の径)により「火山岩塊:>64mm,火山礫:2〜64mm,火山灰:<2mm」に区分されます。
 北海道では,各地に火山噴出物が分布しています。なお,降下火山噴出物の分布は,偏西風により指向性のある分布になっています。

第四紀火山と火山噴出物の分布
第四紀火山と火山噴出物の分布(実務者のための火山灰質土より)

【メモ:「火山灰質細粒土」と「火山灰質粗粒土」】
 火山灰質土は,供給源(火山),噴火様式,堆積条件(一次,二次など)粒子の特徴(粒径,鉱物組成など),分布域,風化度などにより,様々な名称や区分があります。従来,「火山灰質細粒土」は『関東ローム』とされていた土で,「火山灰質粗粒土」は『しらす』とされていた土ですが,現在,地盤工学の分野では,細粒分含有率(Fc)によって区分されています。
 火山灰質細粒土…Fc≧50%,火山灰質粗粒土…Fc<50%(地盤材料試験の方法と解説)


2 火山灰質土の調査・試験

 火山灰質土は,火山灰質細粒土と火山灰質粗粒土のそれぞれで,取り扱いに注意すべき点が多少異なっています。

原位置試験など
 火山灰質細粒土は,ペッド構造(団粒化)を形成する場合が多く,この内部に多量の水分を保持しています。ボーリングやサンプリングでは,このペッド構造が形成されている場合には,それを保ったまま(特性を失わないよう)採取することが大事です。このため,コアチューブを大きくして,試料の採取量を多めにする場合があります。また,ペッド構造を形成している火山灰質細粒土は,見かけ以上の高含水状態や練返しによる大きな強度低下を示すことがあります。

 火山灰質粗粒土は,一般に軽石を多く含み粒子が破砕しやすい性質をもっています。このため,試料の採取・運搬から調整に至るまで,粒度変化が生じないように注意する必要があります。一般的なロータリー式ボーリングでは,コアバレルが回転して掘削・コアリングするため,粒子間や粒子内の間隙に含まれる水分が攪乱・粒子破砕により流出し,泥濘化することがあります。これを避けるため,締まり具合が緩く粒子が脆弱なものに対しては,シンウォールサンプリングを適用することがあります。一方,よく締まっている場合や粒子が固いものに対しては,シュー先行型のスリーブ内蔵型二重管サンプラーや三重管サンプラーを適用します。
 また,地下水より浅部の場合には,掘削時に回転させない打ち込み式サンプラーを適用することも可能ですが,打ち込み時に衝撃が発生するため,ある程度の粒子破砕は避けられません。

【メモ:火山灰質土の掘削】
 火山灰質土に適した掘削方法は,上記のように各種ありますが,シンウォールサンプリングや送水掘削の必要なスリーブ内蔵型二重管・三重管サンプリングを採用する場合には,標準的な土質調査で採用されているシングルコアチューブによる無送水掘削とは調査費用が異なるので,発注者との協議が必要です。

室内試験など
 火山灰質細粒土では,ペッド構造を考慮する必要があります。粒度試験の沈降分析で観察される綿毛構造などが,その代表例といえます。これについては,塩酸による分散が効果的とされていますが,その適用性や工学的意義が明確でないなどの指摘もあります。
 火山灰質粗粒土では,粒子間や粒子内の間隙(開口および閉塞)に含まれる水分が,攪乱・破砕により不可逆的に変化することが知られています。締固め試験においては,非乾燥法と非繰り返し法を厳守する必要があります。


3 火山灰質土の利用と問題

 全面積の40%以上が未固結の火山噴出物で覆われている北海道において火山灰質土は,建設工事で遭遇する場合が多い土質です。従前より一般盛土の材料として利用されているほか,透水性に優れている性質を試料した凍上抑制層材や暗渠の埋め戻し材として利用されています。さらに軽鉱物を多く含み密度が小さい場合には,軽量盛土材として利用されています。
 火山灰質土では,地震時の液状化・豪雨災害・凍上災害の事例が報告されています。軽量であること,多孔質で高含水状態になりやすいこと,構成粒子が脆弱で施工時の破砕(細粒化・粘土化)を受けやすいことなどの火山灰質土の特性が影響していると考えられています。特に風化した火山灰質土は,トラフィカビリティの確保が難しいことや浸食に弱いことなどより,いわゆる「不良土(地山掘削したままの状態では,盛土等の材料に適さないもの)」に当たる場合があます。この風化火山灰についての判定基準も整理されています。「北海道における不良土対策マニュアル(平成25年改訂版)http://jiban.ceri.go.jp/uss/


4 関連資料など

 北海道に分布する火山灰質土について地盤工学的にまとめた文献として,公益法人 地盤工学会 北海道支部編「実務家のための火山灰質土」(http://jgs-hokkaido.org/pastweb/publication/jitsumuka_kazanbai/120423jitsumuka_kazanbai.html)が刊行されています。
 また,「北海道に分布する熔結した火山灰土のコアリングについて」と題して公開されている参考文献があります(https://www/web-gis.jp/e-forum/2005/052.PDF)。




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