地質調査ってどんな仕事?

地質調査ってどんな仕事?

国土を守る。安心を支える。未来を創る。

国土を守る。安心を支える。
未来を創る。

暮らしに欠かせない身近なシゴト。

暮らしに欠かせない身近なシゴト。

私たちの暮らしに必要な建物・道路などを造ること、豊かな自然環境の維持や災害への安全性を保つために、重要な役割を果たしている「地質調査」。水も、エネルギーも、食料も、交通も、建物も、憩いの空間も、地質の情報がすべての成り立ちの基礎となっております。

地質調査は何をする?

建物や道路、ダムなどの構造物を造る時に、その場所が問題ないかどうか、さまざまな方法で地中を詳しく調べることが「地質調査」です。

地質調査でわかることは?

構造物を支える硬い地層がどのくらいの深さにあるのかを確認すれば、安全な建物をどのように造るべきか判断できます。また、地すべりなどの対策にも活用されます。

守る

  • 環境・地下水保全

  • 土壌汚染対策

  • 地すべり・崩壊対策

  • 砂防・土石流対策

  • 河川氾濫対策

支える

  • 防災・減災(地震・火山)

  • ハザードマップ

  • 地下資源開発

  • 温泉・地下水開発

  • 活断層調査

  • 地下構造物メンテナンス

造る

  • 道路・トンネル

  • 橋梁・ダム

  • 港湾・空港

  • 鉄道・建物

地質調査が担う役割とは?

地質調査が担う役割とは?

社会インフラの整備

社会インフラの整備

私たちが安心して暮らすための社会インフラは、一体どんな方法で整備されているのか?実は地質の調査・解析は、いろんな場面で大切な役割を担っています。最近は大きな災害も多く、橋や建物の老朽化も進んでおり、ますますその存在は重要になってきています。

計画

計画段階の地質調査

ダムを造る時には、水を貯める計画を作成しておおよそのダムの位置を決めます。より安全に・コストを低く・短期間にダムを造るためには、地質条件の良い場所を選ぶ必要があり、「地質調査」の実施が欠かせません。

設計

設計段階の地質調査

橋の設計の場合には、工事予定地の地盤が固いのか軟弱なのかによって、橋の形や基礎抗の長さなどが変わります。設計の条件を決めて工事を進めるために、地下の状況を明らかにする「地質調査」が大切な役割を果たします。

施工

施工段階の地質調査

とても深い場所で作業をするトンネルの施工では、工事をすると山から大量の水が出てくるなどのリスクがあります。施工の途中にも「地質調査」を並行して進めていくことで、安全で経済的な工事につながります。

維持管理・災害対応

維持管理・災害対応の地質調査

地震や大雨による災害が起きてしまったら、復旧のために何がどのくらい壊れたかのかを調べる必要があります。地表だけでなく地下の調査をしなければ、復旧の方法や順番、予算を決められません。災害の時はいち早く現場に駆けつけることも、「地質調査」の大事な役割です。

再開発

再開発の地質調査

ゴミの埋め立て地を公園に造り直す再開発の場合では、地中に埋まっている廃棄物は周囲の環境に悪影響を与えないか、土を盛ったら沈下して凸凹にならないかなど、さまざまな問題が考えられます。対策を立てるためには、地下の状況を知る「地質調査」が必要となります。

地質調査の進め方とは?

地質調査の進め方とは?

地質調査の進め方には7つの鍵がある!

地質調査の進め方には7つの鍵がある!

地下の見えないところを調べるなんて、そんなムズカしいことをどうやって進めていくのか?難しい課題を考えて実行することが、地質調査の醍醐味です。

1集める

現地で調査をはじめる前に、調査する地域周辺の地形・地質の概要がわかる文献や過去の調査報告書、工事の記録、災害の記録などを集めて読み解き、効率のよい調査と解析・判断のための参考資料にします。

2歩く

地質・土質・地盤などの概要を把握するために技術者が調査道具を持って、地形や地表露岩、土砂の溜まりかたといった現地で見られるあらゆる情報を観察。マップに記載して、調査地域の地質図をまとめます。

3探る

地表からさまざまな器具を使って人工的に物理的負荷を与えて、地震波・電磁波・音波などの波が地中を伝わる性質を計測したり、比抵抗値のような電気的性質を計測して、不均質な地下の地質構造を探ります。

4掘る

地中の見えない部分を探るには、直接掘ってみることが最も有効です。ボーリングマシンを使って、実際に地下を掘って土質試料や岩盤のコアを採取し観察するほか、さまざまな試験・計測を行います。

5測る

現地で計測機器を用いて、地盤の物理的・力学的な性質を測ります。サウンディング、現場試験、地すべり計測、地下レーダーやボーリング孔を利用した試験、計測、地下水観測、さらにボーリングでの採取試料を使った室内土質試験・岩石試験があり、目的によって組み合わせて行います。

6整える

既存資料の検討・現地調査・計測・室内試験が終わったら、これらの調査結果を整理して、それぞれのデータの評価や整合性の検討を行います。その結果に基づき、調査成果を図表類や地図上に取りまとめます。

7解く

整えたデータを集め、設計・施工・維持管理に対して必要な情報を与えるために、解析を行います。

地質調査のキャリアは?

地質調査のキャリアは?

研修会・講習会

研修会・講習会

キャリアアップにつながる、さまざまな研修会や講習会が行われています。時にはワイワイ・ガヤガヤと、時には真剣に学び、みんなで楽しくスキルを向上させていくための仕組みが充実しています。

協会主催による研修会

実際の機械を使った講習会

資格・制度

資格を取得することで、地質に関するプロフェッショナルとしてさらなる活躍の場が広がっていきます。専門性やスキルに応じて、次のような資格があります。

地質調査技士

現場業務に従事する主任技術者の資格。現場調査、現場技術・管理、土壌・地下水汚染の3部門に区分されており、国土交通省の「地質調査業者登録規定」における管理技術者などの資格者として広く活用されています。

応用地形判読士

空中写真やレーザー地形図を用いた地形判読技術を習得した技術者を認定する資格。地形の成り立ちを把握し、想定した地質からその地形が抱えるリスクを適切に判断する、高度な応用能力も求められています。

地質情報管理士

ボーリングデータなどの地質情報の電子化や二次利用・高度利用に係る能力を有する技術者を認定する資格。データベースの構築やGISプラットフォームの活用などを通じ、重要な国土情報を扱う専門技術者として活躍の幅が広がっています。

技術士

科学技術に関する技術的専門知識と高等の応用能力および豊富な実務経験を有し、公益な確保するため、高い技術者倫理を備えた優れた技術者を認定する国家資格。地質技術者は主に応用理学部門(地質)や建設部門(土質及び基礎)を目指します。

地質リスク・エンジニア(GRE)

「地質リスク」に対し、技術力やマネジメント力に加え、発注者の技術顧問となることも想定した技術者を認定する制度で、地質リスク学会より平成27年度に開始されました。令和5年5月現在、当協会会員企業で道内に在籍する8名を含む129名が認定されており、「地質リスク調査検討業務」の遂行や発注支援等における活躍が期待されます。